マネタリーベースの変化
【第67回】 米国で始まったマネタリーベースの減少が意味すること | 安達誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」 | 現代ビジネス [講談社]
安達誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」筆者は、セントルイス連邦準備銀行のツイッターでこれを確認したが、リツイートもなく、
2014/11/20 08:10
筆者は、セントルイス連邦準備銀行のツイッターでこれを確認したが、リツイートもなく、世界中の誰もが目を向けなかったマイナーニュースとして消え去ってしまったようだ(当然、情報ベンダーのニュースのヘッドラインにも登場しなかった)。
QE政策の効果に否定的な大物経済学者の代表格は、現在、FRB副議長の要職にあるスタンリー・フィッシャー氏である。ただし、フィッシャー副議長は、 「QE政策に効果がない」と論じている訳ではなく、「金融危機等の異常な経済状況の中では一定の効果があるが、経済が危機を脱し、回復に向かっている状況 下ではゼロ金利政策と大した違いはない」と考えているようだ。そのため、フィッシャー副議長はFRBのタカ派の領袖のようにマーケットから評価されてきた が、現時点までは、それほどタカ派色を強めていない。
だが、現在と同様、堅調な株価、そして、景気過熱のサインともとれるような強い経済指標が続いたことから、思い切ってマネタリーベースの削減をおこない、その結果、景気が再び大失速し、デフレに陥った経験が米国にはある。「1937年大不況」の教訓である。
今回のマネタリーベースの減少は、始まってまだ1ヵ月弱であり、一時的なものである可能性も否定できない。ただ、マネタリーベースの減少が今後も続くよう であれば、金融機関の信用創造機能が何らかの理由によって低下していることを示唆するので、これはタイムラグを伴って株価にも波及してくるはずである。